クソブロガー問題は実在するか?

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どうも、さとうきみやです。
今回は少し古い記事になりますが、下記の記事に関する検証をやってみたいと思います。
フリークアウト、イグニスの2社の創業から上場に関わった男の語るスタートアップが陥りがちな5つの問題(フリークアウト佐藤裕介)
(引用開始)
2.クソブロガー問題
続いて、クソブロガー問題は、文字通りなんですが、エンジニアを採用する時に、よく言うのがなんか、自分の技術的な発見とか話をブログに書く、みたいな。そういう人がいいぞみたいな、定説がある。それ基本的にウソなんで、特にエントリー数が多いエンジニアの仕事の出来なさ半端じゃないです。
うちもオープンソースコミッターいますし、エンジニアのブロガーとして有名な社員もいるんですけど、そういったバックグラウンドだからと言って仕事できるのは稀有な例、運が良かったという感じで仕事の生産性が高いということはブログと相関はほぼないと思ったほうがいいです。
(中略)
優秀な子と生産性が高いことはマジで違うんで、それは騙されやすい問題です。特にエンジニアじゃない人、エンジニアバックグランドがない経営者は、そう言うところに評価を置きがちです。まぁとはいえ、オープンソースコミッター・・・ただそれは、そういう人で仕事の出来る人も当然います。ただ、スタートアップの成長に貢献できるかというと相関はない。で、モノの本には、これと真逆のことが書いてある。あれは信じないほうがいいです。
(引用ここまで)
この説によると、弊社開発チームはただいまクソまっしぐらに突き進んでいる訳です。これは大問題です。
果たして、本当にこんな問題が存在しうるか、少し弊社開発チームの事例をまじえて考えてみました。
事例
事例1:きたむら
きたむらさんのブログ記事はかなり抽象度が高い上に、一見するとエンジニアリングとはあまり関係がないように思えます。
たぶん関係ないんです。悲報です。
記事の例としては、「組織パターンとアカシックレコード」とかですね。
タイトルからして、何を言ってるかよく分からないです。
テックブログなので、もう少しエンジニアが読んでためになることを発信していただきたいところ。
ですが、面白いのでこのままで突き進んでいただきたいです。
ところで、彼は驚くほど正確に働きます。勤怠に関しても極めて正確です。
そして、仕事でのアウトプットはかなり優秀です。
事例2:みどり
とにかくよく書きます。そして1記事の分量(文字数)が多いです。
記事の例としては、「元データサイエンティストが2人目のエンジニアとしてスタートアップに入って1年経ったので振り返ってみる」とかです。
しかも、「コンテンツマーケティングの全体像とイノーバにおけるデータ分析手法のビジネス活用」なんていうスライドを発表し、はてブを稼いだりします。
ただし、これはあくまで私の評価ですが、エンジニアとしては優秀とは言い切れません。
まだ経験もありませんし、エンジニアリングの勉強が決定的に足りません。
エンジニアリングに踏み込んだ記事はきっと書けませんし、書いても真っ赤に添削されるでしょう。
彼のエンジニアリングに関する記事が公開されたときは、「あー、みんなでがんばって添削したんだな」と思ってやっていただけると幸いです。
事例3:しょっさん
記事の例としては「知らないと損をする!エンジニアが知っておくべきWebサービス10選!」
タイトルも記事も、かなり手馴れているように思えます。
探ってみたところ、Qiitaでのエントリー数がそこそこあります。書くことに慣れている様子です。
一方で、エンジニアとしての彼はかなり優秀です。
事例4:やきとり
やきとりはとにかく、記事を書きません。
ところが、たまに書くと、それなりに面白い記事を書いてくれます。
例えば「エンジニアと椅子」とかです。
が、とにかく記事を書きません。
ただし、エンジニアとしての彼は優秀です。
システムの「改善と運用」という、地味なわりにかなり負荷の高い仕事を的確に処理します。
結論
4人の事例を表にまとめると下記になります。
残念ながら、サンプル数があまりにも少なく、なんらの証明にもなりませんが、現時点では相関も因果もなさそうです。
ブログを書く優秀なエンジニアは稀有な例ではありません。
「ブログを書く」というのは、トレーニングによって、ある程度は出来るようになるものです。
一方で、ブログを書きまくるエンジニアが優秀とは限りません。
「日本語(自然言語)を書く」ことと「プログラムを書く」ことは全く違う世界の話です。
結果として、「ブログとエンジニアの生産性には、相関関係も因果関係もない。」という、ありきたりな結論に至りました。
特に相関がないことは、冒頭の佐藤さんの発言にも含まれています。
「相関がない」と言っておきながら、その前段に「出来なさ半端じゃない」と言ってるあたりがステキです。
「出来なさ半端じゃない」のであれば、それは強力な「負の相関」では?
これがエンターテイナーです。
すばらしい議論の「振り切り方」だと感じます。
皮肉でもなんでもなくて、これもマーケティングの1つの方法です。
とにかく目立つ。
私はこの手法があまり好きではありません。「炎上マーケティング」なんてやつですね。
ただし、目の前にオーディエンスがいて、何か面白いことを言わなきゃいけない状況になったら?
あなたも私もやらかしてしまうかも?
最後に
この貴重な示唆に富んだ視点を提示いただいたフリークアウト佐藤さんに感謝します。ありがとうございます。